よくあるご質問
- パワーリハビリテーションとは?
パワーリハビリテーション(パワーリハといいます)は専用のトレーニングマシンを用いて低負担の反復運動を繰り返すご高齢者の為の機能訓練手法です。
国際医療福祉大学大学院、竹内孝仁教授(リハ医、日本の介護学の権威)を中心に理学療法士、作業療法士、トレーナーら専門家のグループにより開発され多くの高齢者施設、医療機関で導入されています。『パワーリハは筋力を向上させる目的で行う筋力トレーニングではありません。』
ご高齢者が楽に感じる低負荷・低負担の運動を行うことで全身の神経と筋肉を適度に活性化し、正しい方向での運動を繰り返すことで動きの再学習を図ります。ADLの土台となる歩行動作能力の高い改善効果が注目されています。
受け身ではなく自分で動かすことにより精神的な自信や意欲を取り戻す効果があることも報告されています。体力・動作能力・意欲を改善することで行動を活発化させ、元気な生活を取り戻す行動変容の為の機能訓練プログラムです。- 効果について教えてください。
パワーリハによる効果は「意欲・体力・動作」に集約されます。どんな疾患であってもADLを左右するのは体力と意欲です。
パワーリハは「疾患に対するリハ」ではなく「どんな疾患でも安全に行える意欲・体力・動作能力向上に効果のある手法」といえます。1.心臓・血圧への負担と効果
パワーリハによる心臓への負担は普通入浴と同等です。散歩・階段昇降・入浴制限がある方を除けば実施可能な安全な手法です。
リラックスを促しながら楽に行いますので短期的にも長期的にも高血圧状態が改善したという研究報告もあります。2.呼吸器への負担と効果
パワーリハの運動強度は2~3 メッツです。これは安静時の2~3倍という意味です。散歩と同程度です。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)の方にも安全かつ呼吸機能の改善効果もあると報告されています3.骨・関節疾患への負担と疼痛への効果
パワーリハは低強度の負荷で正しい方向への運動を繰り返しますので関節への負担は極わずかです。日常生活動作で疼痛が発生する方でも安全に運動ができます。
疼痛の軽減効果も数多く報告されています。筋の緊張が緩和し、全身の血行が改善するからだと考えられています。4.神経難病への安全性と効果
パーキンソン病、脊髄小脳変性症など進行性の神経難病は特にリハビリが難しい病気です。低活動防止、精神面の観点から適度な身体活動が求められていますが、バランス能力低下、自律神経症状など安全面の問題からできる運動が限定されてしまうからです。
パワーリハは神経難病の方でも安全にできる数少ない方法として知られています。劇的に歩行能力や生活活動が改善した事例も数多く報告されています。5.脳卒中片麻痺後遺症への安全性と効果
一般的に麻痺に対するリハビリに筋力増強は積極的には行われません。パワーリハは正しい姿勢を維持しながら適度な関節運動を促す低負荷運動ですので適切な指導により筋の異常な緊張を高めずに正しい動作を習得することが可能です。
また、脳卒中後遺症の方は麻痺自体のリハビリだけでなく、自信や意欲を取り戻し、心も体も活動力を向上させることが重要です。
「負担の掛らないパワーリハによって体力と自信を取り戻し生きがいのある人生を取り戻した」という利用者の声がパワーリハの効果を表しているといえます。歩行能力への効果も確認されています。- 利用者の年齢層について教えてください。
一般的なデイサービスの利用者は、75歳以上の後期高齢者が約80%に対し、パワ リハ型デイサービスは64歳以下の高齢者で無い方+75歳未満の前期高齢者の利用 者が60%以上です。
一般的なデイサービスは男女比率2:8に対し、リハビリ型は7:3と男性の比率が高いです。
- パワーリハ以外のプログラムについて教えてください。
機能訓練道具(リング、イガイガボールマッサージ、バランスチェアー、バランスパッド他)を用いてグループや個人による様々な運動を行います。
各ご利用者に合った運動の種類、運動方法は丁寧にご指導致します。一部をご紹介します。バイオステップ
全身運動により持久力を向上させるとともに手足を交互に動かすことで歩行動作を改善します。
体力測定
体力評価は3ヵ月に1 回実施します。初回以外は3ヵ月に1度、ご利用者全員で楽しく体力評価を行います。
※評価や普段のパワーリハにおいても評価・教育目的でビデオ撮影を行います。体力測定報告会
体力測定結果をご本人様、ご家族様、ケアマネージャー様にフィードバックします。
座位、立位姿勢の写真や歩行姿勢のビデオ撮影を行い、過去のビデオを比較しながらご覧頂けます。- パワーリハビリテーションをするとどうなりますか?
一般的に介護施設における高齢者は「世話を受ける」「動かしてもらう」など受け身になりがちです。
パワーリハではあくまで利用者が主となり、道具であるマシンを扱います。スタッフの役割は「支援」です。このような関係性が利用者の主体性や自発性向上に大きく影響しています。非筋トレであるパワーリハは終了後すぐに足が軽くなる、足の出が良くなったなどの効果を実感しやすい特性を有しています。そのことが自己イメージの改善につながり活動への意欲を高めます。
パワーリハのような低強度の運動はうつや認知症などの精神障害に対して好影響を与えることが報告されています。
- トレーニングマシンが使えるか不安です・・・。
適応が広く殆どの高齢者が実施できます。例え介護度が高くても、運動が苦手でもすぐにトレーニングマシンを使った運動ができます。理由は下記の通りです。
- 動く軌道が一定です。
- 座ったまま運動ができます。
- 体重の影響がありません。
- 運動範囲を調節できます。
- 重りの動きが目に見える為、運動学習が容易です
- パワーリハトレーニングマシンについて教えてください。
酒井医療製compassシリーズは細かな姿勢設定、負荷設定、乗り降りのしやすさ、指導のしやすさを考慮したパワーリハの専用トレーニングマシンです。
ホリゾンタルレッグプレス(ホリゾン)
動作:リクライニングされた椅子に座りフットプレートに足の裏を置きます。
ゆっくりと両膝を伸ばします。これを繰り返します。
目的:椅子からの立ち上がり動作をスムーズにします。トーソフレクション(トーソ)
動作:座位からお辞儀をするように上体を倒していきます。
目的:椅子からの立ち上がり動作をスムーズにし、座位を安定させます。ローイングMF(ローイング)
動作:座面に座り前方のグリップを握り「前へならえ」の姿勢からグリップを
手元に引き寄せ「小さく前へならえ」の姿勢になります。
肩甲骨を引き寄せる感覚で行います。
目的:姿勢を改善します。肩甲骨がしっかり寄った姿勢は歩きやすさにも
つながります。ヒップアブダクション(ヒップ)
動作:座面に座りパットに乗せた足を左右に開きます。
目的:お風呂をまたぐ動作をスムーズにします。歩きや立っている姿勢を
安定させます。レッグエクステンション(レッグ)
動作:座ったままの姿勢で足首上部に当てたパッドをゆっくりと持ち上げ
ます。膝の伸ばす運動です。
目的:歩きや階段昇降動作を安定させます。チェストプレス(チェスト)
動作:座った姿勢で両方のグリップを握り、腕を前方に伸ばします。
目的:荷物を棚に乗せる、洗濯物を干すなどの動作をスムーズにします。
呼吸や物を飲み込む能力にも効果的です